山口恭一の人生を変える就活

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自分の力でハッピーに生きていこう

さて、今後の人生を楽しくするための、仕事に対する目標の持ち方がわかりましたか? 自分の進む道、そのためにいまやるべきことが、少し見えてきたでしょうか?
現代は格差社会と言われ、特に若い人たちの間で格差が大きくなってきています。長期的目標を持ち、夢に向かって確実に歩を進めている人もいれば、キャリアを積むことができず、不安定な雇用形態を強いられたままの「ワーキング・プア」と呼ばれる若者もいる。その差は生涯賃金の総額だけでなく、生き甲斐や幸福感といった精神的メリットにも大きく影響してきます。
こうした格差が、就職してからたったの3年以内に決まってしまうとしたら……そして、最初のほんの小さなボタンのかけ違いが、10年後20年後に悲惨な結果としてあらわれるとしたら……。
あなたはどうしますか?
この格差社会を生き延びて人生を楽しく過ごすカギは、新入社員の時期にあるんです。20代の若いうちにしっかりした目標を持ち、それを達成するために時間と頭を投資して、入社10年後には自分の力で生きていけるようになってください。何屋さんを選んでもいいから、「プロ」「マネージメント」「マーケティング」のいずれかを目指し、どこへ行っても通用する、どんな会社に入っても重宝がられ る、そんな人間になってください。
格差社会=学歴社会ではありません。いまだ学歴や出身大学が物を言う世界も確かにありますが、力さえあれば偏差値の高い低いなんて関係ない、という場合が増えてきています。リーダーシップや創造力や表現力やコミュニケーション能力といったものは、偏差値とは相関関係がありません。
どんな人でも、心がまえと努力しだいで、これからの長い人生をハッピーに生きていくことができるんです。この本を繰り返し読んで、まずは自分の現状を認識し、「ではこれから何をすべきか」を考えてみてください。あなたの人生を切り開いていくのは、あなた自身です。
ところでプロローグでもお話ししたように、いまの私の目標は、「60歳までに20人の経営者を育てたい」というものです。
私の場合、数値目標だけではあまり欲が持てないんです。しかし、社長が欲を持たなければ会社ってのは伸びない。そこで、社会性が高く使命感も満足できる“人づくり”を目標に据えたというわけです。目標達成まで残すところあと12人。何屋さんでもいいから、何かをやりたいという意欲があって、責任感が強く、最後までへこたれない執念の持ち主ならば、惜しみなく応援するつもりです。起業を目指している人は、ぜひ一度当社の門を叩いてみてください。
そうして巣立っていった人たちがそれぞれ、私と同じく意欲のある経営者を育てるようになれば、全国に、あるいは世界中に、元気な起業家が倍々ゲームで増えていく。すごいパワーが生まれるでしょう!それを見届けてみたい気がしますね。

山口 恭一

仕事センスとは何か?

売れる営業マンの条件

それじゃここで、「仕事センス=営業センス」とは何かという話をしましょう。一般に「センス」ってのは、あとから身につきにくいと思われてますね。確かに、ある程度は持って生まれたものか、遅くとも20歳になるまでに知らず知らず身についているものでしょう。けれども、すべてのセンスが先天的というわけじゃありません。訓練で得られるものだって、たくさんあるはずです。
そんなセンスの中でも、仕事をするに当たってのセンスとは、次のようなものです。

  • 第一印象がとてもいい
  • 目標設定能力がある
  • 記憶力がいい
  • 説得力がある
  • 行動力がある
  • 数字に強く、いろんな方向から数値分析できる
  • 人にわかりやすく説明できる
  • ヒアリング能力がある
  • 自分のモチベーションをコントロールできる
  • 年長者に可愛がられる素質がある
  • 他人のいいところを吸収する力がある
  • 相手の立場に立って考える癖がついている
  • つねにどうやったら可能になるか考える
  • 自分に厳しく、ほかに責任転嫁しない
  • 同じ失敗を繰り返さない
  • 仮説と検証を毎日繰り返し、変化していける

どんな職種でも、このようなセンスが備わっているなら、きっと仕事上手と呼ばれるようになります。だけど「全然だめだ……」なんて、ため息つく必要はないんですよ。この仕事センスが最初から全部備わっているのは、1000人にひとりいるかいないかという、いわば天才です。そんな人、普通はまずいないでしょう。
それでも、訓練すればこの中でいくつかは必ずできるようになるはず。いくつか完璧で、あとはまあそこそこ、というくらいになれればOKです。営業マンだったら上位2割のトップランクに入れるでしょう。つまり、売れる営業マンになるための条件が、これらのセンスでもあるわけです。
こうした営業センスについての話や、トップランクになるための具体的方法などをもっと詳しく知りたい人は、私のもう1冊の本を読んでください。本書の刊行後に、同じ出版社から営業に特化した内容の本が出版されます。営業マン志望の方にとって、おおいに参考になること請け合いです。

いますく変わろう!

さあ、皆さんはトップランクの営業マンになる努力ができそうですか? あるいは技術系でも事務系でも、上位2割の中に絶対入ってやろうと思いましたか? 勉強しない人、訓練しない人、飽きっぽい人、横着な人、言い訳がうまい人、愚痴が多い人、目標のない人……こういった人は、どんな職種を選んでも成功しません。つまり負け組です。結果が出ない→仕事がつまらない→会社を辞めてしまう→自分が変わらないのでまた結果が出ない、と悪循環の転職スパイラルに入ってしまいますよ。
そうならないためにも、自分が変わらなきゃ! さっき挙げた「仕事センス」の中で努力できそうなことから、いますぐ実行するんです。
まずは第一印象をよくするためにお勧めしたいのが、自己紹介の訓練です。だいたいのレジュメを書いて、まずは1分間で自己紹介をやってみましょう。それができるようになったら、内容をもっとまとめて5分間。それができたら次は3分間。次は1分間。最後は30秒。
訓練をするには、全身が映る大きな鏡が必要です。鏡の中の自分に向かって自己紹介。そして同時に、自分の声をテープに録音し、あとで聞いてチェックします。目線をそらさず表情豊かに話ができていますか? 目つきや姿勢は悪くありませんか? レジュメに添って、時間どおりに話し終わりましたか?
こうした訓練をしていれば、あなたの第一印象は確実によくなるし、話すことも上手になります。商品知識も、覚えたあとは同じやり方で、お客様に紹介する訓練をしましょう。
次に、年長者の人脈を作る努力をしましょう。詳しいことは「4 これが人脈作りのツボだ」のカテゴリに書いてありますが、とにかく、仕事上手で前向きな年長者に話を聞きに行くこと。その際、聞いたことは必ずメモし、あとでノートに写し直しましょう。いつ・どこで・誰に・どんな話を聞いたか等々、詳しく書き込んでおくと、そのときの情景が思い出されてきます。これを何度も読み返し、自分に真似できるところを見つけるんです。
それから、本を読みましょう。営業に興味があるなら営業に関する本、あるいは自分が興味を持っている業界の関連誌など、片っ端から読んでください。そしてさっきと同じように、読んでためになった内容や参考になりそうなことをノートに書き込みます。それを何度も何度も見直して、自分のものにするんです。
これらを、社会人としての勉強だと思ってやってください。大学を卒業したらもう勉強は終わり……では決してないんですよ。日々勉強です。生きるための勉強は、一生続きます。

社長が教える☆就活のガッツ

  • その25 営業はハイリスク・ハイリターンと覚悟せよ。
  • その26 「2・6・2の法則」を頭に叩き込もう。
  • その27 自分が目指す職種について本気で勉強しよう。
  • その28 仕事センスというものを理解し、できることからやってみよう。
  • その29 第一印象をよくするため、自己紹介の訓練をしよう。
  • その30 卒業しても、生きるための勉強は一生続く。

いままでどんな勉強をしてきたか?

営業志望の学生は勉強しない

営業を目指している学生諸君には、ちょっと厳しい話が続いたかもしれませんね。もし、「自分は甘い気持ちで言ってるんじゃない。きちんと自己の適性を考えた上で、本気で営業を目指そうとしてるんだ!」と反論したい人がいるなら、それは大変喜ばしいことです。
しかしそんな人に、ここでひとつ聞いておきたいことがある。営業志望のあなたは、営業に関する勉強をいままでにしてきましたか? 営業関連の本を読んだことがありますか? 読んだとすれば、何冊くらいですか?それはどんな内容 の本でしたか?
セミナーの場で、営業志望だという学生に同じ質問をしてみると、たいていみんな黙り込んでしまいます。これまでに聞いたうちだと、営業関連の本を読んだことがある人は、私の感覚で1000人に3人——つまり0.3%くらいしかいませんでした。5冊以上読んだことがある人となると、おそらく0.1%に満たないんじゃないでしょうか。将来は起業したい、経営者になりたいという意欲のある学生ですら、あまり結果は変わりません。
また、たとえ「読んだことがあります」と答える人だって、内容を尋ねてみると覚えてないことが多い。何も印象に残っていないわけです。これじゃ、読んでない人と同レベルですよ。誰の著書かは忘れてしまっても、「これこれこういう内容の本で、こういうところが自分にはためになりました」ぐらい言えないと、読んだうちに入らないじゃないですか。
つまり、会社に入る前に営業職とは何ぞや、というようなことを勉強してくる学生なんて、ほとんど皆無なわけです。暴論を承知であえて言えば、営業を目指す人の大半は勉強嫌いです。だから、「机に向かってるより人と話すほうが好き」なんて言う。とにかく勉強しない。読まない、書かない、参考になる話を聞きに行かない、そして、メモも取らなければ訓練もしない。
これじゃどうやったって、トップランクの営業マンになんかなれません。私に言わせれば、営業の本1冊も読まないで営業を志望するなんて、自分の人生に対してずいぶん失礼な話だと思います。
「大学卒業して、その程度の心がまえでこれから40年以上の仕事人生を乗り切れると思っているのか? 同じようなことを将来、自分自身の子どもにも教えるつもりか? ふざけるな!」と叱りつけてやりたいですね。

本気でやるなら勉強しろ

もう一度繰り返します。もしかしたら一生涯それでメシを食っていくことになるかもしれない仕事なのに、参考になるような本すら読んでないなんて、自分のこれからの人生に対して失礼だと思いませんか? 人生なめちゃいけません。そんな心がまえで、これから40、50年という長い時間をずっと過ごしていこうなん て、とんでもない話です。
それはいわば、野球の試合を見たことないのに野球選手になりたいとか、漫才を見たことないのにお笑い芸人になりたいとか、ごはんも炊いたことないのに料理人になりたいとか言うのと一緒ですよ。そんなバカな話あるか! と誰でも思 いますよね。そのとおり。この“そんなバカな話”が、営業職の場合にだけ通じ るわけないじゃないですか。
ここでもう一度、このカテゴリーで最初にした質問に戻りましょう。あなたは営業という仕事に本気で興味がありますか? 「○○に興味がある」ってのは、○○にどれだけの時間を費やしてるかってことと、イコールなんですよ。
営業の勉強をしてきてない学生は、会社に入ってもやっぱり勉強しない。そうなると、当然売れません。つまり、営業志望と言いながら営業について何も勉強してない人は、知らないうちに「売れない営業マン」を目指してることになっち ゃうんです。
本気で営業やろうと思うなら、勉強しなさい。とことん訓練しなさい。
たとえ「仕事センス=営業センス」がなくても、勉強して努力すれば、トップランクのセールスになれる可能性は十分あります。なぜなら「2・6・2の法則」で言ったとおり、営業マンの下位8割は、勉強嫌いの“その他大勢”だからです。そんな中できちんと訓練すれば、まわりと差をつけることができ、必ず結果を出すことができるんです。

なぜ営業やるの?

ほかには何もできないと気づくべし

この本を読んでいる皆さんは、営業という仕事に興味がありますか? もしあるとすれば、それはいったいなぜですか?
私が開催しているセミナーでも、「営業に興味あります!」と明るく宣言する学生がときどきいます。しかし、なぜかと尋ねてみると、あまり納得のいく答えは返ってきません。
もちろん最初から営業志望という、そのこと自体は、とてもよいことなんです。だけど問題は、営業というのがどんな仕事か本当にわかって言ってるかどうかってことです。まずは、このあたりを確認してみる必要がありそうですね。
このカテゴリーはタイトルを見てわかるように、営業志望の学生諸君を意識して書いています。しかしこれから述べることは、たぶん営業職だけに限られる話じゃないはずです。自分の生涯を託すことになるかもしれない仕事と、それに対する心がまえという観点から見れば、どんな職種を志望する人にも、ある程度は当てはまる話でしょう。そのつもりで読み進めてください。
さて私の考える職種の分け方は、営業系・技術系・事務系——大ざっぱにこの3つです。
営業系というのは、商品を直接売ることだけを指すんじゃありません。販売促進をおこなう広報・宣伝等の部門や、顧客センターの窓口、ホテルのフロントや受付など、お客様に接する仕事はすべて広い意味での営業系に入ります。
つまり、お客様と直接コミュニケーションを取る仕事と考えたらわかりやすいでしょうか。
次に技術系というのは、実際の商品を作ったり改良したりすること。また、工場などのシステムを改善したりするのも技術の仕事です。つまり「しくみ」を作るわけですね。それ以外に、料理人・美容師・デザイナー・インストラクター・プログラマーといった仕事も、自分の技術を売るわけですから技術系と考えられます。
事務系というのは、社内外のコーディネイト業務です。人事・庶務・総務・経理・財務といった部署があります。いわば、営業系や技術系の人が働きやすくなるようにするための仕事ですね。公務員の場合は、この事務系と技術系の仕事がほとんどでしょう。公務員で営業系というのはあまりピンときませんから。
ここで質問ですが、営業系志望のあなたはこんなふうに考えていませんか?
「特に技術もないし、事務処理も苦手だし……ほかにできることがないから、とりあえず営業かな」
なんてね。どうも私の感覚だと、営業ってのは「ほかにできることがなさそうだから」って学生が一番入ってくるところなんです。技術もダメ、事務もやりたくない、だから営業を選んだという人が実に多い。
いや自分はそうじゃない、なんて息巻く声が聞こえてきそうですね。だったら、ちょっと考えてみてください。小さいころからずっと、「将来は営業マンになりたい」と思っていましたか? 高校時代はどうでしたか? 大学に入ったばかりのころは?
答えを聞くまでもなく、若いときから営業職を将来の目標にしてきた人などまずいないでしょう。大学も3年になり、「就活」の2文字が目の前に迫ってきて初めて、営業という仕事を視野に入れた人がほとんどだと思います。これはある意味しかたないでしょうね。日本の大学というのは、社会人になるための教育に力を入れない場所だから。
ただし、いまの自分がほかには何もできない、と気づくことは必要です。自分でそれを認め、その上で「じゃあこれからどうすればいいのか」と考えることが大事なんです。

営業は甘くない

営業志望だという学生にその理由を聞いてみると、よくこんな答えが返ってきます。
「人に接する仕事がしたいから」
「人と話すことが好きだから」
うーむ……そりゃ、人と話すのが嫌いよりは好きなほうが、営業の仕事をするには多少楽でしょう。しかし、話すのが好きってだけで営業ができるなら、誰も苦労はしません。営業マン時代、トップセールスでいた期間がほとんどだった私でさえ、入社して最初の数カ月はまったく売れない時期がありました。だから、営業の苦労や結果の出ないつらさが身にしみてわかるんです。
特に商品を直接販売する営業職の場合、人と接することや話すことが好きで売れるほど甘いもんじゃない。「話し好きだから、営業ならできそう」なんて思ってると、えらい目に遭いますよ。逆に、口下手でも優秀な営業マンになることはできるんです。あがり症で人と話すのが苦手だったにもかかわらず、訓練によって指折りのトップセールスになった人も実際います。
ほかには、「じっとしてるより動いてるほうが性に合うから営業」なんて言う人がいます。これもおそらく、じっと机に向かったりパソコンの画面を眺めたりするよりは外を出歩いたほうがまし、という程度じゃないでしょうか。
営業ってのは、トップランクになれれば高収入や自由時間や幸福感というリターンがたくさんもらえてハッピーです。しかし結果が出なければ、悲惨なリスクを負うことになる。まさに天国と地獄。だから私はこの仕事を「ハイリスク・ハイリターン」と呼んでいるんです。
最近では理工系の学部出身者など、技術を持っているのに営業志望という変わり種の学生が増えてきました。歓迎すべき面ももちろんありますが、ここではあえて苦言を呈しておきたいと思います。
営業の仕事は決して甘いもんじゃない。これっきゃないと腹をくくらない限り、トップランクにはなれません。そして営業ってのは、トップランクになれなければ本当につまらない仕事です。勤務時間は長いわ、休みや収入は少ないわ、まわりの評価は低いわ、家族には心配をかけるわ……まさにリスクだらけ、ハイリスクなんですよ。
だから、絶対トップランクになってやるという強い意思を持てないならば、営業を目指すのはやめたほうがいいでしょう。

営業マン2・6・2の法則

営業営業とひと口に言いますが、営業にもいろいろ種類があります。トップランクの営業マン——すなわち、お客様に喜んでいただきながら継続して商品を売っていくことのできる人は、全体から見て上位の2割しかいません。
そのすぐ下にいる6割は、売れたり売れなかったりという人。こういう営業マンは、ただ接客するだけ、あるいは商品の説明をするだけしかできないってことがほとんどです。早く言えば、単なる御用聞きですね。
こんな人たちを私は「説明営業マン」と呼んでます。プレゼンテーション(商品の説明や提案)はできるが、お客様の本音がわからない。つまり、KY(空気が読めない)なんですね。説得力やマーケティング力といった本物の実力をつけて、お客様の気持ちがパッと理解できるようにならなければ、営業マンとしての将来はありません。
さらにその下2割というのは、もともと営業に向かない人。こういう人はまったく売ることができません。
そして、最下位の2割と中間の6割を足した8割の営業マンは、大部分が入社3年以内に辞めてしまいます。辞めたところでほかにできることもないので、転職するとしてもやっぱり営業です。しかし、会社や商品が変わっても、自分が変わらなければ売れるようにはならない。というわけで、再び転職を繰り返す……いつまでたってもキャリアも本物の実力も身につかない、苦しい苦しい転職人生になってしまうんです。
このように、トップランク2割・説明営業マン6割・売れない営業マン2割という状況を、私は「営業マン2・6・2の法則」と呼んでます。ただしこの法則は、営業マンに限ったものではありません。技術系であれ事務系であれ、どこへ行っても通用する人というのは、それぞれやはり上位2割程度でしょう。
その上位2割に入るため——言い換えると、下位8割に入らないためには、どうすればいいのか。これに関しては、「2 目標持つと人生が変わる」、「3 時間と頭はこう使う」のカテゴリーに詳しく書いてありますので、そちらを読んでください。

人脈はどこで生きてくる?

プラス発想の人脈を生かせ

仕事で成長するコツは、年長者に可愛がられることと、無心に上手な人の真似をすることだと言いましたね。それからもうひとつ、プラス志向の発想ができることが大事です。
プラス発想の人というのは、単に性格が明るいってわけじゃありません。明るい暗いではなく、考え方のベクトルがどっちを向いてるかという問題です。例えば実現の難しいプランが持ち上がったとき、あるいは解決困難なトラブルが発生したとき、「どうすればできるか」「どうやったらよくなるか」と何度も何度も考えるのがプラス発想。つまりプラス発想というのは、「ノー」を「イエス」にする方法を考え出すってことなんです。
固定観念と常識にとらわれた普通の人は、何か新しいアイデアを提示されたとき、「そんなの無理だ」「できるわけない」「ちょっと難しい」と考える。実を言うと会社の中には、こうしたマイナス発想というか、現状維持派のほうが断然多いんです。だからプラス発想の人は、こういう現状維持派の「ノー」を押さえ込むだけのパワーを持ってなくちゃいけない。
ここからは私の想像ですが、例えば宅配便の時間指定配達——いまでは当たり前になっているこのサービスも、最初に社内でアイデアが出たときは、かなり大勢の人が反対したと思いますよ。「そんなの無理だ、コストも手間もかかりすぎる」と否定しにかかったはずです。そこを引っくり返したプラス発想の持ち主が、おそらく何人かいたんじゃないでしょうかね。
私自身、プラス発想に救われたことがあります。20歳でレジャー会員権販売会社の営業を始めたとき、最初の2カ月半は歩いても歩いてもまったく売れずに、それはつらい思いをしたもんです。しかし、ひとつだけ心に決めていたことがありました。それは、売れない営業マンとは付き合わない、ということ。
そのときはまだ入社数カ月でしたが、社内の力関係を怖いくらいハッキリと見て取ることができたんです。オフィスはまるで、営業マン人生の縮図のようでした。売れてる人はお客様にもまわりにも喜んでもらえて、自分の時間も自由にコントロールし、収入も多くもらえて、とてもハッピーに仕事している。それに対し、売れない人は悲惨です。毎日遅くまで会社にいても全然結果が出ない。勤務時間は長いのに休みも収入も少なく、上司には怒られ、まわりからは嫌味を言われ、家族には心配をかけている。
それを見て私は、単純に思ったわけです——売れない営業マンには絶対なりたくない! と。だから自分自身がどんなに売れなくたって、売れてる営業マン=仕事上手な人の話をつねに聞くようにしていました。仕事上手な人というのは、考え方がプラス発想なんですね。だから話をしたあとはいつも前向きになれたし、モチベーションを高く保つことができた。プラス発想の人脈のおかげで、先が見えないあの時期を乗り切れたようなもんです。
現在でも、折に触れて考えますよ。もしあのとき、売れない人たちと仲よくなって互いの傷を舐め合うような付き合いをしていたら、いまの私はなかった。きっとつぶれていたでしょう。人生は紙一重……そう思うと、ちょっと怖い話です。
キャリアという言葉は大変華やかに響きますが、単に長く勤めていることや成功体験のみがキャリアじゃありません。自分自身やほかの人の失敗を見て、同じようなたぐいの失敗をしないために改善してきた結果が、本物のキャリアです。
言い換えれば、歴史つまり過去から学んで分析し、それを未来に生かすべく積み重ねていくこと、それがキャリアなんです。私自身、数々の失敗を生かしてきた結果、いまがあるわけです。
そんなキャリアを築くには、場面場面でキーパーソンが必要になるでしょう。
たくさんの年長者とお付き合いして、キーパーソンとのよい人脈を作っておけば、失敗を繰り返さないためのアドバイスもいただけるし、失敗を生かして積み重ねていける——つまり、マイナスをプラスにすることができるんです。
そのためにも、マイナス発想のネガティブ人間と付き合わないこと。仕事上手の年長者や、会えば元気になれる前向きな人を中心とした、プラス発想の人脈を大切に育てていってください。

すべて人に教わって現在がある

それではここから、私自身の話をしていきましょう。私がどんなふうに年長者との人脈を作り、それをキープしてきたか。皆さんにも何か真似できるところがあるかもしれません。
私の場合、浪人生活に見切りをつけた8歳のころから現在に至るまで、どんなことも人に聞いて聞いて聞きまくってきました。自分で言うのも何ですが、とても聞き上手だったんですね。もともと性格が素直な上に好奇心旺盛でしたから。それに何事に対しても一生懸命だったんで、面倒見てやろう、目をかけてやろう と思ってくださる方も多かった。
まず経営者になることを決意したのは、福島の先輩に話を聞きに行ったとき、「仕事には5つの進路がある」という言葉を聞いたのがきっかけでした。その後、経営者には営業型と技術型があると教えてくれたのも、「商品でなく自分を売り込む営業をやりなさい」とアドバイスしてくれたのも、すべて人生の先輩——年長者の方々だったんです。
会社に入ってからは、売れなくて悩んでいたとき、上司に話を聞きに行って目標の持ち方を教わりました。仕事上手な先輩営業マンには、「どうしたら売れるようになるんですか?」と食い下がって、勤務時間外の時間の使い方を教わりました。初めて部下ができたときは、壁にぶつかってしまい戸惑いましたが、これも上司にすぐ相談して的確な助言をもらうことができました。
そして独立を決めてからも、銀行からのお金の借り方や会社の登記のしかた、契約書の書き方など、とにかくすべて人に聞いて教えてもらいました。そうそう、「汚れる仕事はすたれない」と言ってクリーンビジネスを勧められたのも、喫茶店を営む先輩経営者に話を聞きに行ったときでしたよ。

私の転機——人脈生かしてアメリカへ

うちの会社がいまの形になるまでには、いくつかの転機がありました。一番大きな転機は、アメリカ発のクリーンビジネスを導入したときです。これに先立って私はアメリカへ視察研修に行ったんですが、その際にも、年長者の人脈に大変。助けられました。
では、そのときの話をしましょう。
25歳で独立した私は、店舗の大掃除代行業「山口商会」を始め、3年後には「株式会社 トータルサービス」に改組。このときから、本業に加えて掃除用機材の販売もおこない、その機材を使って同じように店舗の出張クリーニングをする代理店を募集し始めました。現在のフランチャイズ事業の基礎を作ったわけです。そして「汚れる商売はすたれない」という先輩の言葉どおり、業績は順調に伸びていきました。
ちょうどそのころ日本はバブル前で経済は低調でしたが、アメリカのハイテクブームやベンチャーブームを背景に、第二次ベンチャーブームを迎えていました。私もベンチャー起業家のひとりとして、ずいぶんマスコミに取り上げらてもらったもんです。会社がテレビで紹介されたときなんか、代理店の加盟希望者が列をなして待ってたこともありましたね。
だけど何よりよかったのは、このベンチャーブームのおかげで、上場企業の新規事業開発担当者とか、ベンチャーの雄と呼ばれるような会社の社長とか、異業種の方々との交流がたくさん生まれたことです。私の交友範囲は飛躍的に拡大し、著名経営者の間にすばらしい人脈ができました。
そんな交流の中で、多くの人が異口同音に主張することがありました。
「日本で大きくなっているビジネスは、すべて欧米から入ってきたものです。これからのビジネスのヒントはアメリカにあるんですよ」
「山口さんはアメリカへ行かれたことがありますか? まだだったら、ぜひ一度行って見ておくべきです」
などなど、会う人会う人みんなアメリカ行きを勧める。でも、最初私は渋ったんです。だって英語ができないから。しかし、経営者として今後ずっと会社と社員を担っていく以上、そんなこと言ってられません。
というわけで、渡米することを決めたんです。これに関しても、転送電話会社を営む先輩経営者の助言を受けて、その方のアメリカの会社でリサーチしてもらいました。伸び盛りのアメリカのクリーンビジネスやベンチャー企業なんかを、片っ端から調べてもらったんです。インターネットなんかない時代ですからね、これは助かりましたよ。
その結果、向こうのビジネスにがぜん興味を持った私は、現地のエージェントや通訳を紹介してもらいました。アポイントを取るのも、移動や宿泊の手配をするのも、もちろんエージェントにやってもらい、一路アメリカへ。飛行機の座席はファーストクラス。最初はエコノミークラスで行こうと思ってたんですが、「サービス業をやるんだったら、最高のサービスを一度は経験しておかなくちゃいけないよ」という年長者のアドバイスに従ったんです。一度経験しておくのは、決して贅沢ではない。研究開発費——つまり投資なんだと教わりました。ホテルも一流のところに泊まりなさいと言われましたね。
アメリカでは、そりゃものすごいカルチャーショックを受けました。それまでの私は、会社経営をしながら日々あらゆることに問題意識を持っていましたし、その都度集中してさまざまなテーマを考える習慣がしみついてたんです。そんな状態で初めてのアメリカへ行ったもんだから、もう何を見ても何を聞いても、怒涛のような衝撃がダイレクトに流れ込んでくる。頭の中がはち切れそうになりましたよ。幕末の志士たちが初めて外国へ留学したときと同じくらいのインパクトだったでしょうね。
このときは10日間でロサンゼルス、ニューヨーク、オーランド、ピッツバーグ、クリーブランドを回りました。短期間で全米大陸を横断してまた戻るという強行軍でしたが、得られたものは非常に大きかった。ひとりひとりの役割分担が明確なアメリカ企業のシステムも感じられたし、日本で10年後20年後の需要が見込めそうなビジネスにも出会えたんです。何より、「自立イコール仕事の目標を持つこと。自立なくして自由はない」というアメリカの気風がバンバン伝わってきて、よい刺激を受けました。
「よーし、アメリカからビジネスを持ってくるぞ!」
ここで私は目標の照準を「アメリカで実績があるクリーンビジネスを日本に導入し、国内での先駆者になる」と定めたわけです。
そこで数カ月後に再渡米し、目星をつけておいたクリーブランドのスパークル・インターナショナル社を訪ねました。この会社が開発したビル外壁のメンテナンス技術「スパークル・ウォッシュ」には、作業効率のよさや自然環境に配慮した工法など、日本でもヒットしそうな多くの魅力があります。そこで、「スパークル・ウォッシュ」のフランチャイズに加盟するライセンス契約を結んだんです。
この契約時にも、先輩経営者のみなさんからいろいろアドバイスを受けました。何せアメリカ企業との契約なんて初めてですから、交渉のポイントや心がまえをしっかり伝授してもらいました。100万ドル(当時のレートで約1億5千万円)というライセンス料を交渉により半額にしてもらったのも、先輩方のアドバイスがあったからこそと思ってます。また、交渉事でトラブルになったときのためにと弁護士を紹介してくれたのも、やはり先輩方でした。
こうしてみると、うちの会社がいまあるのは、何もかも年長者の温かい助言のおかげかもしれません。自分で起業するということも含めて、周囲の先輩方から的確なアドバイスをその都度いただき、いろいろと助けていただきました。私は多くの年長者から、経営者として必要なすべてのことを学んだ——そんなふうに考えています。
こういった年長者の方々の人脈は、いまでも私にとって、かけがえのない財産のひとつとなっているのです。皆さんもぜひ若いうちから、自分の財産となるような人脈を作っていってください。

社長が教える☆就活のガッツ

  • その19 同級生とばかり群れないで年上とお付き合いしよう。
  • その20 他人のよいところをおおいにパクろう。
  • その21 何でも聞きに行く素直な人間が年上に可愛がられる。
  • その22 “年長者人脈の輪”を増やし、それをキープしよう。
  • その23 年長者へのお礼状と盆暮れ年頭の挨拶を忘れるな。
  • その24 プラス発想の人脈を大切に育てていこう。