山口恭一の人生を変える就活

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新入社員にメリハリは必要か?

遊びや休みを犠牲にしろ

人生にはメリハリが必要です。働くときは働く、遊ぶときは遊ぶ。
しかし、新入社員諸君にはこの原則が当てはまらないんです。私の体験談を読んでみれば、うなずけるところが多いんじゃないでしょうか。時間と頭を投資するのは20代の若いうちがベスト。それも、勤務時間外の自分の時間を投資しなくちゃいけない。つまり早い話、新入社員の間は休日もずっと仕事のことを考えろ ってことですね。
ところがこんなふうに言うと、学生諸君の絶望的な顔が目の前に見えるような気がします。
「人間、遊びや趣味の時間だって大事じゃないか。休みの日くらい、仕事のこと忘れてのんびりしたいよ!」なんて考えてませんか?
だけど、ここが思案のしどころなんですよ。このカテゴリーの始めに言った、投資とリターンの話を思い出してください。
安上がりな時期に時間と頭を投資して、あとからゆっくり自由時間のリターンをもらって楽しむか、それとも若いうちに楽をして遊んで、将来、会社から重宝がられることのない“その他大勢”のグループに入ってしまうか。あなたはどっちを選びますか? まさに、イソップ童話の『アリとキリギリス』みたいなもんですね。
今どきたいていの会社は週休2日制ですから、年間の休みは100日以上になるでしょう。これをそっくりそのまま休んでおいて、あとからリターンをもらえると思いますか? それは虫がよすぎるってもんです。若いうちに時間を投資するからこそ、年取ってからのリターンが多くなるんです。
ところでその投資する「時間」についてですが、これは、遊びや休みを犠牲にした時間でないといけないんです。遊びや休みを犠牲にすれば、その時間の「量」はそのまま「質」に転化します。逆に言うと、遊びや休みを犠牲にしていない量は、質に転化できません。
例えば日本の大学のトップランクといえば、やっぱり東大ですよね。ここの学生さんは、小さいころから「遊びたい」「たまには休みたい」という思いを犠牲にしてきた人が、おそらくほかの大学よりも多いんじゃないでしょうか。その犠牲が投資となって、東大合格というリターンがもらえたわけでしょう。仕事も同じ。トップランクになりたければ、遊びや休みの時間を投資する必要があるんですよ。投資が大きければ大きいほど、大きなリターンが望めます。
というわけですから、若いうちは土日の休みもないものと思ってください。趣味やプライベートの時間を大事にしたいなんてのは、仕事ができるようになってからの話。プロ野球選手だってレギュラーになろうと思ったら、オフの時間を犠牲にして人の何倍も練習するんです。それと同じことですよ。
男性の場合は、仕事イコール人生という長いスパンになります。長く楽しい人生を送るためにも、入社して3年間は、仕事漬けになる覚悟を決めといたほうがいい。遊ぶのはプロになってからです。目先主義の人たちの将来は、悲惨ですよ。
女性でも総合職希望の人なら、男性と同じ覚悟が必要。でも女性の人生設計はさまざまですから、40年も勤めないという人も中にはいるでしょう。その場合も、例えば10年勤めようと思ったら、最初の1年くらいは仕事漬けになってほしいですね。
とはいえ、365日まるっきり休みなしというのは、あまり現実的じゃない。だからこんなふうに考えたらどうでしょう。年間の休みは、多くても1割とする。つまり365日の1割だから36、7日といったところですね。内訳は月に2日、五月の連休と夏と年末年始に3日ずつ、合計8日。あとは、病気になったり急用ができたりしたときのための予備日です。
会社というのは、世の中の人(=お客様)に喜んでいただきながら収益を上げ、従業員全体の生活向上を目指す組織です。あなたがそこの一員になったなら、まず仕事の目標を設定し、プロになるための修業を始めなくてはなりません。一人前になるまで——少なくとも3年から5年の間は、年間100日の休みを3分の1に減らしましょう。

年間100日の休みはこう使え

それでは「勤務時間外の時間」、つまり年間100日の休みをどう使って投資をおこなえばいいのか、もっと具体的なヒントを挙げてみましょう。私の経験上、どうしても営業という職種に重点を置いた内容になりますが、ほかの職種を志す人たちにとっても参考になると思います。基本的な考え方は変わりませんから。
営業の場合、まず必要になってくるのが、自己紹介と、会社に関する知識と、商品知識です。商品知識の豊富さだけなら、誰だってすぐプロになれるんですよ。とことん勉強してください。自社が扱っている商品の種類すべて、特徴や価格を頭に叩き込みましょう。その商品の歴史や、開発秘話なんかも忘れず調べること。
そして、自社商品と他社商品との違いを知っておくことも大事です。自社商品の強いところ、競合他社の商品の強いところ、それがわかってないと、お客様のニーズに沿った提案はできません。どんな業界のどんな商品だって、100点満点じゃない(もし100点の商品があるなら、みんなそれを買うから営業マンは要りませんよね)。だからこそ、競合他社と比べた自社商品の強みや弱みを知っておかないと、顧客の動向やターゲットをつかむこともできないんです。
「わが社の商品には○○○といった利点がありまして……」と自社商品のいいところを一方的にまくし立てるだけじゃ、決して喜んでいただけませんよ。足りないところも知った上で、「お客様のこれこれこういう希望を叶えるには、この商品」と的確にニーズを満たすことができるのが、プロの営業マンです。
商品知識と並行して、お客様層の研究も大事な勉強のひとつになります。いままでにどういう人が買ってくれたのか、どういう人が買ってくれなかったのか、できる範囲ですべて調べましょう。これを調べないと仕事になりません。それどころか、顧客層がわからなけりゃ、会社だって実際成り立たないんです。製品開発だって営業だって、買ってくれそうな人」にターゲットを絞っておこなうのが基本ですからね。
それからもちろん、広く業界全体のことも勉強してください。インターネットで調べたり、ビジネス書を読んだりして、幅広い業界知識を身につけなくちゃなりませんよ。
営業職なら、オリジナルの販売促進ツールを作ることも大事。自社商品に関連する新聞や雑誌の記事をスクラップしたり、すでに商品を購入されたお客様の声を引用させていただいたり、イラストが得意なら図解入りの資料を自作したりするのもいい。まずは売れてる人のツールを見せてもらい、真似してみましょう。
私がやったようなプレゼンテーションとかセールストークの訓練をするのが、とても大切。内定期間中の学生さんだったら、自己紹介の練習をしてみるのがお勧めです。10分・5分・3分・1分・30秒、それぞれの制限時間で効果的に自己紹介するには、どう話せばいいか——まずはレジュメを作り、それに沿って練習しましょう。自分の話しぶりを鏡に映してみたり、テープに取って聞いてみたりしてみてください。
事務職の人なら、まずはパソコン能力が必要。あと大事なのは、電話応対。内定期間中の学生さんなら、電話関係のアルバイトを探してはどうですか。
テレフォンアポインターではなく、商品説明とかサービスの案内とか、お客様への快い応対法を勉強できるようなものがお勧めです。そのほかには、何を勉強したらいいのか、できれば会社の先輩に聞いておくといいでしょう。
あとは、できる人の仕事ぶりを観察し、いいところを真似するための研究をおこなうのも大事なこと。ふだんから気づいたことを何でもかんでもメモしておき、自由時間にノートに清書するようにしましょう。メモする際には、日時や天気や場所やそのときの状況など、細かいところまですべて記入します。そうすれば、あとから情景や場面が思い浮かぶはず。これを何度も何度も読み返して、自分の ものにしてしまうんです。
学生諸君の中には「真似すること=パクリだからかっこ悪い」なんて考える人もいるようだけど、これは決してかっこ悪いことじゃありませんよ。スポーツでも何でも、初心者のうちはうまい人の真似をするのが上達の秘訣でしょ。仕事だって同じ。最初はできる人の真似をし、何度も訓練してそれを“自分のものにする”ことが肝心なんです。
さあ、皆さんはこれらすべてを、勤務時間内にやれると思いますか?
……やれるはずありませんね。もしやれるとすれば、その人は勤務時間に仕事をしてないってことになります。つまりこうした勉強や訓練は、休日や余暇を削ってやるよりほかないんです。
お客様にまた来ていただく、あるいはまた会っていただくための努力も、やっばり勤務時間外にしかできません。この努力とは具体的に言うと、お礼状や挨拶状などのたぐいです。たとえ下手な字でも、心をこめて自筆のハガキや手紙をお客様に出しておく。
これを努力していれば、「○○さんなら」という信頼をいただくことができます。そうなると、紹介案件も生まれてくる。紹介とは、自分が営業しなくてもお客様ができるってことなので、結果的に営業時間が短縮されるわけですよね。自分の時間を投資した結果のリターンって、こういうことなんですよ。
さて、年間100日の休みの使い方が実感できましたか? 新入社員のうちにこういうことを実行していれば、本当の休日はおのずと3分の1くらいに減ってしまうでしょう。そしてある程度訓練ができたなら、今度は休日を、訓練でなく実際の仕事(営業の場合は営業活動)に使うんです。お店はいつでも開けておくほうが、お客様を呼び込めるというわけです。
まずは、いま自分が何もできないことを自覚しましょう。いま何もできないからこそ、これから訓練するわけです。どんな仕事でも、訓練しないと決して上手になりません。
誰に何を聞かれても答えられるように、一生懸命訓練してください。「遊びや休みを犠牲にしてこれだけやったんだから、自分は誰にも負けない!」と思う気持ちが、最後には決め手になるんです。仕事のできない人が休みの日に訓練せず遊んでいるのは、セブンイレブンが24時間営業を短縮してるようなもんです。つまり、みすみす負け組へのレールに乗ってしまっているんですよ。
皆さんは、大学を受ける前に受験勉強をしてきたでしょう? 特に難関校なら、学校の授業だけで合格するのは難しいはずです。
仕事だって同じこと。会社に入ったらもう勉強しなくてすむなんてのは、大きな勘違いですよ。一人前になるためには、勉強しないといけないんです。入社したら3年間は、休みなしで仕事漬けになる覚悟を決めてください。

社長が教える☆就活のガッツ

  • その14 時間と頭を投資するのは若いうち・早いうちがベスト。
  • その15 10年投資して、その後30年リターンをもらおう。
  • その16 時間と頭の投資は目標設定とペアでおこなう。
  • その17 休みや遊びを犠牲にして時間を投資するのが肝心。
  • その18 年間100日の休みを3分の1に減らせ。