山口恭一の人生を変える就活

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あなたがいまやれることは何か?

自分がいま持っているものを考えよう

さて、そうしたトップセールスを続けて数年後のこと。会社が同業他社に吸収合併されたんです。かなりの営業マンがリストラされてしまいましたが、私の場合はもちろん、役職も給与も変わりません。ただ、部下の数は減らされたし、同業とはいえまったく違う会社になっちゃったわけだから、社風から何からすべて一から勉強し直しです。
この時ふたつのことを学びましたね。まず、ひとりで狩りができるようになれば、どこへ行っても重宝がられて、たとえ会社がコケても全然怖くないんだということ。そしてもうひとつは、組織の中にいる以上、いくら自分のチームだけがガンガン売ってても、会社全体がよくなければダメだということ……。
営業マンというのはモチベーションが下がったらアウトです。売る意欲も数字もそれにつれて下がってしまう。ずっとトップセールスでしたから、そのころまでにはいろんな方から「ぜひうちへ来てほしい」と引き抜きのお誘いを受けていたんですが、リピートオーダーや紹介がもらえないというレジャー会員権業界の限界も感じていた。そこで、「よーし、こうなったら自分で会社を興すぞ!」と意を決しました。
当初の予定からはかなり早い起業になりましたが、これもタイミングと受け止めました。普通は「○○をやりたいから独立する」と考えるんでしょうが、私の場合は「経営者になりたい」という目標が先にあったわけです。だから何をやるかは全然決めてなかった。でも、とにかく確実に成功しそうな商売を探そうと思 いましたね。
そこでまた、先輩方に話を聞きに行くことにしました。「独立しようと思ってるんですけど、何の商売がいいでしょうか?」
「お前ならとりあえず何をやっても売れるだろう。とにかく、長く続く商売がいいよ」
「お客様を大事にして、また来てもらえるような商売がいいね」
「常連さんをたくさん作れるような商売だね」
こんな話を聞くうちに、ひとつのイメージが浮かんできました。流行(はや)りすたりに関係なく常に需要があって、しかも気に入ってもらえたらリピートオーダーが出る商売……。
しかし、当時の私は資本も場所も人材もろくに持っていません。あるのは若さとガッツとトップセールスの経験だけ。そこで、いま自分が持っているものの範囲でできることをやろうと考えました。喫茶店を経営する先輩のひと言が、天からの啓示みたいに降ってきたのは、そのときです。
「汚れる商売ってのはすたれないな」
汚れる商売……汚れたものをきれいにする商売……クリーンビジネス……。
それだ! とすぐひらめきましたね。汚れる仕事なら流行りすたりがなく、常に需要はあり続ける。もちろんリピートオーダーも出る。しかも普通はあまり人がやりたがらない。チャンスだ!
リピートオーダーが期待できない商品をそれまで売ってきた私にとって、このクリーンビジネスというのはものすごく魅力的に思えました。いつもいつも新規のお客様を開拓しなくちゃならないのは、結構つらいもんです。お客様をプールできるってことは、靴底をすり減らして歩き回らないですむってことだ……そう思うとホッとしましたね。
というわけで、汚れる仕事をいろいろ調べました。産業廃棄物の処理、クリーニング屋、スーパーマーケットのカゴ洗い……。しかしどれも、新たな資格や店舗や大がかりな設備が必要なんですね。それでもあきらめず、持っているお金と人脈と力と情報を全部つき合わせて、いま自分にできることを必死で探しました。
その結果、お店の大掃除をおこなうための機材や洗剤を売ってる会社を見つけたんです。そこから「出張クリーニング業」のアイデアに行き着いたわけ。これは商店街などに出向いていって、お店のテントやカーペットやソファや換気扇などを洗うというビジネスです。これなら車に道具だけ積んで現場へ行けばいいので、店舗がいらない。どこかの空き部屋に連絡用の電話と机だけ置いておけば、用は足ります。
ワゴン車1台と掃除道具と学生アルバイト2人を使っての起業——これが「山口商会」社長としての新たなスタートでした。25歳のときです。
いま自分が何を持っているのか、それを総動員して何ができるか。起業に当たって私が考えたのはそこでした。学生諸君が就活のときに考えるのも、これと同じでしょう。自分がいま持っているもの——能力や資格などを知り、まずはその範囲の中でやれることを決めなくちゃなりません。力もないのにあれがやりたいこれがやりたいと言うのは、子どものないものねだりと一緒ですよ。
自分が何もできないと自覚することがまず必要なんです。いまの自分に力がな いことを知った上で、そこから力をつけていく目標を持ち、伸びていけばいいんです。

卒業までの短期目標を持つ

さあ、ここまで読んできて、自分の目標は設定できましたか? 10〜15年後に「プロ」「マネージメント」「マーケティング」のいずれを目指すか、決まりましたか?
例えば皆さんが何の職種でも、「プロになりたい」という目標を持ったとします。これは長期目標。そうしたら、そのためにいまやれることを考える。それが短期目標です。
まずは予習の意味で、自分が入りたい会社についていろいろ調べてみましょう。その会社の理念はもちろん、歴史や沿革、社長のプロフィール、役員や社員の数と構成、株式の保有比率、営業所の所在地などなど……。
次に、内定をもらって就活が一段落したら、卒業までの時間を決してムダに過ごしちゃいけません。卒業までの短期目標を設定するんです。
まず、自分が入る会社の取り扱い商品すべてを徹底的に研究する。パンフレットやカタログを隅から隅まで読み込んで、内容も値段も全部覚えるようにする。保証書やスペックのたぐいまで把握できれば完璧です。
それができたら今度は、その会社が属する業界全体について勉強する。本を読むなりインターネットで調べるなり、いくらでも方法はあるでしょう。こうして自分の会社だけでなく、ライバル会社についても知っておくんです。
それが終わったら、ライバル会社の競合商品を徹底研究する。自社商品とどこがどう違うのか。価格は? 品質は? 顧客ターゲットは? 調べることは無限に出てくるはずです。
あとは、自己紹介の訓練をしましょう。まず全身が映る鏡を買い、それに向かって話し方の練習です。その際、10分・5分・3分・1分・30秒、それぞれの制限時間であなた自身を表現する工夫をしてください。10分与えられたら何をしゃべるか、5分なら、3分なら……というふうに考え、まずはレジュメを作成します。それをテープに撮って聞き直し、鏡の前の自分に向かって何度も練習するんです。
もうひとつ、企画提案書の書き方も練習しておくといい。インターネットで検索したら、「印象的な企画書の書き方」なんてサイトが結構見つかります。まず“企画提案書とは何ぞや”から始まって、どういうのが優れた企画書なのかというところまで、あらかじめ調べて知っておいてください。
ちなみに当社では、内定者に対し、自分の将来に対しての目標とそれを達成するための行動計画を出させています。あるいは、うちの事務所を一年間きれいに保つための掃除計画を考えさせたりしています。重要なのは、こうした計画をただ頭で考えるだけでなく、「企画提案書」の形にするという点なんです。グラフイックをどう使って印象的に見せるか、どんなふうに要点を押さえるか……企画書にするという作業によって、パソコン能力も文章力も磨かれます。これをマスターした新人というのは、即戦力になる可能性が大きい。
こうした「卒業までの短期目標」を持って取り組むかどうかで、あなたと同期入社の人々との間には格段の差がつきますよ。
さらに、入社してからすぐ実務に役立ちそうなアルバイトをするのもお勧めです。営業系を志望するなら販売の仕事、事務系ならパソコンを使った仕事など、関連のありそうなアルバイトを探してみてはどうですか? その他、何か学生時代にしかできないようなことに没頭するのもいいですね。
とにかくいまのあなたにとって一番ムダなのは、ボーッとしたり、学生友達同士でダラダラしゃべったりしてる時間です。のんべんだらりと気楽に付き合える人間関係はもちろん必要ですが、そんな付き合いばかりしてたって、あまりためになりませんよ。どうせ会うなら、なるべく気の張る年上の人と会うようにした ほうがいい。そうすれば態度も言葉遣いも気をつけるようになります。いつまでも学生同士感覚のままじゃ、社会に出てから衝撃を受けますよ。
内定をもらってから卒業までの時間をどう過ごすのか——ここに“その他大勢”でない上位2割に残るための、最初のカギがあると考えてください。

社長が教える☆就活のガッツ

  • その7 5つの道と3つの職種、どれを選ぶか決めよう。
  • その8 プロ・マネージメント・マーケティング、いずれかを目指せ。
  • その9 10年〜15年のうちにひとりで生きていける力をつけろ。
  • その10 目標は短期・中期・長期のスパンで設定せよ。
  • その11 短期目標は毎日頑張れる身近なものを。
  • その12 目標は必ず期限を区切れ。
  • その13 まず大学卒業までの短期目標を持とう。