山口恭一の人生を変える就活

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35%の新卒が3年で辞めていく?

辞めていくのは営業と一般事務

いま、いろんなところで若者の転職率の高さが話題になってますね。1年で15%、3年で実に35%の新卒社員が、最初に入った会社を辞めると言われています。だけどこの数字、そのまま鵜呑みにしていませんか?
平均したら35%になるかもしれないが、偏差値の高い大学を卒業して大企業に入った総合職や、公務員の上級試験に受かった人間や、人に負けない技術を持っているような人間は、まずそんなすぐには辞めません。なぜなら、目標を持って就職するからです。
となると、辞めるのは誰か? ——技術を持たない営業系の人間と、一般事務職です。特に営業系は転職率ナンバーワンでしょう。私の感覚としては、営業で採用された人間の7割が転職を経験してるように思いますね。
どうして営業系の人間は辞めてしまうのか? これは答えは簡単、売れないから辞めるんです。つけ加えるなら、与えられた目標に対する努力を継続できない、だから成果が出なくて売れないんですよ。
こういう人は技術系や事務系に行けないので、転職してもやっぱりたいてい営業をやります。だけど努力を継続できないから、会社と売る商品が変わったって売れない。だから行き詰まってまた辞める。こうして“スパイラル”に巻き込まれてしまい、地位も年収も下がっていくステップダウンの転職を繰り返すことになります。ひどいのになると、最後は詐欺まがいの商売に行き着いたりする。
ビジネスの世界でよく使われる言い回しに「2・6・2の法則」というのがあります。どんな組織や集団においても、努力を継続していく人間は上位2割。その下の6割は努力したりしなかったり。さらに下位の2割は努力せずにぶら下がるだけ。営業を例に取ると、20%は売れる営業マン、60%は売れたり売れなかっ たり、下位の20%は全然売れません。そして、売れる営業マン以外の80%が3年以内にたいてい辞めていくんです。

「第二新卒」という言葉にごまかされるな

こんなふうに、会社に入っても数年で辞めてまた就職活動してる人間を、近ごろは「第二新卒」なんて呼んでいるようです。
この「第二新卒」という言葉は、人材紹介会社の造語です。「一度社会人経験があるので、まったくの新卒よりは研修に時間がかからない」とか、「社会に出てまだ間がないから、変な色に染まっていなくて企業にとっても使いやすい」とかいう説も出回ってますが、とんでもない! この説はあくまで人材紹介会社側の戦略だと思ったほうがいい。第二新卒などという聞こえのいい呼び方にごまかされてはいけません。
いくらキレイごと言ったって、第二新卒はしょせん一度負け組に入った証拠になるんです。履歴書に「私は継続できない人間です」「あきらめが早いです」と書いてるようなものです。
皆さんが社長だったら、新卒と第二新卒どちらに投資したいですか? 企業側にすれば、多少育てるのに時間がかかるとしても、一度も負けてない、あきらめてない人間のほうがいいに決まってます。第二新卒なんて、フレッシュでもなけりゃ実績もない、はっきり言って“会社に入っても3年持たないやつ”と思われてしまうんですよ。
もっともっと履歴書を大事にしてほしい。3年以内にあきらめて会社を辞めたなら、その“あきらめ”があなたの「職歴」になってしまいます。同じことを繰り返すたびに、真っ白だった履歴書があきらめ」で黒く染まっていく。これはもう、自分で履歴書に傷をつけてるようなもの。だからといって、もし履歴書に嘘を書けば、「履歴詐称」になる。これは立派な犯罪です。いつばれてクビになっても文句は言えません。
それともうひとつ。皆さんが履歴書を出した企業が、前に辞めた会社へ連絡して人物調査をする場合もあります。その際どんな会社だって、よっぽど納得のいく退職理由がない限り、数年で辞めていった人間のことをよくは言いません。あからさまな批判までいかないにせよ、「ああ、○○さんですか。ま、悪い人間じゃないんですが……」てな具合に、“いい人と言う以外に褒めるところのない人間”扱いされるのがオチですよ。
「第二新卒」イコール「履歴書に傷のついた人」と思われる可能性大なんです。こうした事実をぜひ知っておいてください。

とにかく3年以内に辞めないこと

新入社員をひとり育てるのに会社がどれくらい投資するか、あなたは知ってますか? 給料やボーナスなど直接的なお金以外にも、会社は社員にさまざまな投資をします。各種の保険、交通費や通信費、研修費や教育費、机や椅子や本棚やパソコンや携帯電話などの備品代、文房具やお茶などの消耗品代、採用までにかかった広告宣伝費や説明会などの運営費……。新入社員の机が置かれたスペースだって、会社が払ってる家賃やテナント料の何分の1かに当たるんですよ。こういうの全部含めて、ひとり当たり最初の1年間で、営業系や総合職なら約1千万円くらい。事務系でも600万円くらいにはなるでしょうかね。
ところが新入社員が最初の1年間に稼いでくるお金は、ほぼゼロ。つまりあなたへの投資は、始めのうち完璧に赤字です。かなり優秀な新人の場合でも、どうにかこうにか収支がトントンとなるのは入社3年後ぐらいですね。もちろんもっと短期間にバンバン収益を上げて会社に貢献してくれる逸材も中にはいるが、かなりレアな例と言っていいでしょう。
ということは、入社3年以内に辞められたなら、会社にとっても、お客様や取引先やまわりの人にとっても、すごく迷惑なんですよ。お金だけの問題じゃありません。誰にとってもプラスにはならない。中でも、とりわけあなたの履歴や人間的成長にとって、絶対マイナスになってしまうんです。
とにかく、力もついていないのに3年以内に辞めるな! と言いたい。普通、営業や総合職の人なら10年前後、一般事務なら5年は我慢しないと、力はつきませんよ。

ステップアップの転職ならOK

3年以内の転職というのは、社会に出てから最初の失敗です。どう考えたって、しないに越したことはありません。
しかしもちろん、誰だって初めから3年で辞めようとは思ってないでしょう。だからそのリスクを避けるために、現状を知り、自分の甘さを知り、就活のこの時期にきちんと心がまえを作っておく必要があるわけです。
どうせ辞めるなら、自分にしっかりした力がついてからにしてください。お客様やまわりの人間に継続的に喜んでいただくそれができるようになってから、会社を飛び出してください。こうしたステップアップの転職なら何度やってもOKです。その都度、年収も地位も上がっていくでしょう。
ステップアップの転職をする人は、会社にとってもお客様にとっても惜しまれる人材です。だから、もしあなたがそういう立場になって辞めると言ったなら、会社側は一生懸命引きとめようとするはず。それでも誠意を持って話をすれば、最終的には理解してあなたの意思を尊重してくれるでしょう。
くれぐれも皆さんがステップダウンの転職を繰り返すことのないよう、「転職スパイラル」に巻き込まれないよう、お祈り申し上げています。