山口恭一の人生を変える就活

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あなたが社長ならどんな学生が欲しい?

何といっても素直さが一番

あなたが社長なら、どんな学生が欲しいと思うでしょうか?
この問いにピンと来ない人は、別に社長じゃなくたっていいんです。例えば大学のサークル活動であなたがリーダー的な立場にいたとして、どんな部員と一緒にやっていきたいですか? こいつなら絶対集団のプラスになって活動してくれる、と思える人間がまわりに、ひとりやふたりいるんじゃないでしょうか。
一緒にやっていきたい人材について企業側の立場から言うと、何といっても「目標設定能力のある人」というのがベストです。自分がコンスタントに頑張れる目標を、自分自身で設定できて、それに対して執念を持ち続けられる人。こういう学生なら、ぜひとも欲しいですね。お客様が喜んでくださることは間違いないですから。しかし、この条件を大学卒業して入社した時点で満たしている人は、ごくわずかでしょう。
というわけで、実際には、「目標設定能力のある人」になれる素質を持った人が企業側にとってのベストになります。最初は目標を自分自身で設定できなくても、与えられた目標に一生懸命取り組める人——つまり、「素直な人」です。上司や先輩から言われたことを変に哲学的に解釈したり、妙に小利口だったりする人間は、あまりよくないですね。こういう人間は結局、ちょっと素直じゃないんですよ。
うちの新人の例ですが、入社3カ月しかたたないのに、すでに定例の全体勉強会に二度も遅刻してきた者がいます。理由をきくと、明け方近くまで地球環境問題に関する本を読んでいたた め、うっかり寝坊してしまったと言う。
わが社の専門がエコビジネスなので、その本を読めば仕事に役立つと考えたんだそうです。いまはまだ勉強会で教わる内容を素直に覚えなくちゃいけない段階なのに、勝手に自分の理屈を持ち出してよけいなことをするわけですよ。こういうのは困る。私は言ってやりました。「お前が夜中に本を読まなきゃ、電気も使わず、よっぽど地球環境のためになったんだよ!」
チームが求めているのはこういう人じゃなく、素直な人。素直な人は早く成長します。これはつまり、学生諸君の利害と一致するわけですね。会社は、早く成長する人が欲しい——あなたは、早く成長したい。だったら、与えられた目標を拡大解釈したり、哲学的に考えてよけいなことに手を出したりせず、素直に取り 組むことです。
また、素直な人というのは経験者の言うことをしっかり聞いて、他人のよいところをすぐに真似できる人。つまり、よいところに共感し、それを即実行に移して、自分の身にしていくことができるのが素直な人なんです。
ところがいまの学生諸君は、真似をしろと勧めると、「パクるのはかっこ悪い」なんて言うんですね。どうも人真似=パクリは恥だと考えているらしい。行き過ぎた個性重視教育の弊害だと私は思いますけどね。
だってどんな分野でも、最初はまず上手な人、できる人の真似をしなけりゃ始まりませんよ。スポーツだって、芸術だって、料理だって、茶道や華道だって、何だってそうでしょ。本を読んで、それだけでやれる人はいません。仕事も同じです。経験者の話を聞き、「こうやってみなさい」と言われて「はい」と素直にやってみる、真似してみるところから入るんです。個性なんてのは、それができた上での話ですよ。
上手な人の真似をするのをパクリと呼ぶなら、どんどんパクって結構。パクリをおおいにお勧めします。逆に、パクリこそあなたが成長するためのの秘訣なんです。

こんな学生が欲しい

というわけで会社が欲しい学生というのは、一にみずから目標設定する能力のある人、二に与えられた目標に取り組める素直な人。で、そのほかにはどんな条件が挙げられるか並べてみましょう。あなたはこれらの条件にどれくらい当てはまりますか?
完璧に当てはまる場合は10点と考え、それぞれの項目で自分の点数をつけてみてください。採点の基準としては、あなたが約20年間生きてきた経験の中で出会ったまわりの人間と比べてみればわかりやすいでしょう。例えぱいままでに「あいつは素直だ」とか「あいつは頭の回転が速い」とか思った人間がいるなら、そ の人を心点満点として、それと比べて自分がどれくらいになるかを決めます。あまり深く考えず、気楽に点数をつけてみてください。

  • 謙虚な人(素直な人とも通じるものがある。与えられた目標に誠実に取り組み、年長者や先輩のよいところを取り入れられる人)
  • 明るく前向きな人(目の前の壁にぶち当たったとき、逃げたり落ち込んだりせず、どうすれば乗り越えられるかを考える人)
  • 勉強熱心で努力する人(勤務時間外に、仕事に関連する勉強ができる人)
  • 会社の価値観や雰囲気になじめる人(会社のよいところを知ろうとする人)
  • 粘り強い人(集中力があり、我慢がきく人)
  • 人の話が一度でわかる人(相手が何を言いたいのか、要点を理解できる人)
  • 読解力がある人(契約書や説明書といった文書を読みこなせる人)
  • 気がきく人(繊細で、頭の回転が早く、報告のタイミングが絶妙で連携力がある人。つまり、相手の立場に立って物事を考えられる人)
  • 第一印象がいい人(清潔感があり、挨拶がしっかりできる人)
  • 表現力がある人(お客様や相手によって表現を変えることができる人)
  • 同じ間違いを繰り返さない人(過去の失敗から学び、それをプラスにしてこれからの人生に生かすことができる人)
  • 酒癖が悪くない人(酒癖が悪いと、必ずいつか誰かに迷惑をかける。社会人として失格)
  • KYでない人(“空気が読めない”人は困る!)

さて、点数はどうでしたか? 結論から言うと、すべて8点以上なら合格です。7点以下はダメ。なぜかというと、7点という中途半端な点数にすべてがあらわれているから。たぶん7点をつける心理というのは「胸を張ってOKとは言えないけど、まあ普通より少しいいかな」ってな感じでしょ。その謙虚さは認めますが、これは社会じゃ通用しません。仕事においては、自信を持って胸張ってOKと言える結果がすべてなんですよ。

会社の好きなところをたくさん見つけよう

それでは、ちょっと補足説明しましょうか。「会社の価値観や雰囲気になじめる人」というのは、会社と相性がいい人。もちろん本当に相性がいいかどうかは、入社してみないとわからないでしょう。だけど「勉強熱心な人」なら少なくとも、自分が入りたい会社について事前にいろいろ調べるはずです。
いまはどんな会社もホームページを持っていますし、業務内容その他をオープンにしています。だから自分が入ろうと思う会社について、もっともっと知ろうとしたほうがいい。何をやっている会社なのか、どんな品物を取り扱っているのか、どんな歴史があるのか、社是や理念は何か、お客様はどういう方々か、役員や社員の構成はどうなっているか、社長のプロフィールは……などなど、知っておくべきことはいっぱいあります。
その中で、会社のどんな点が好きになれそうか考えるんです。自分に合うところ、いいところを、できるだけたくさん見つけるようにしてください。好相性の第一歩は、まず会社を好きになること。これがポイントです。あなたが今大学2、3年生なら、できれば会社説明会に参加する前に、その会社について予習をすませ、好きなところを探しておきたいですね。
ところで「粘り強い人」という条件を挙げると、よく「私は大学で運動部に所属しているので我慢強さと粘り強さには自信があります!」と言う学生がいるが、これは全然当てにならない。
だって、そういったスポーツはあくまでも自分の好きなことだし、学生の間だけという期限付きだから我慢できるんです。言い換えると、生活や収入と関係のない趣味だからやってられるんです。これがもし、そのスポーツを仕事として一生涯やっていくとなれば、話は違ってくるんじゃないでしょうか。
仕事ってのは期限付きじゃなく、生きていくために一生涯続くものです。お客様やまわりの従業員も関わってきますから、好きなことだけやってられないんですよ。逆に、自分の好きなことや趣味をどれだけ犠牲にできるかという我慢強さが問われる場面も、ごまんとあります。
次に「人の話が一度でわかる人」。これは「気がきく人」に通じるところもあるが、人が何を求めているのか即座に理解できて、物事の要点がわかる人です。お客様というのは、ご自身が求めているものを、マニュアルどおりに理解しやすく話してくれることはあまりありません。
例えば、お客様があなたに「これ、私に似合うかしら?」と尋ねたとしましょう。そのときに「はい、とても」という答えが欲しいのか、「いえ、こちらのほうがお似合いだと思いますよ」という答えが欲しいのか、雰囲気や会話の流れによって全然違ってくるんです。
だから、「KY(空気が読めない)」では困る。KYは決して笑い話じゃありません。KYというのは、仕事のできない人=お客様やまわりから「いらない」と思われる人の典型的パターンなんですよ。
表面に出てきた言葉から、人の本心が読み取れるかどうか——社会に出たら、こうしたことが問われる場面はたくさんあります。それができるのが、「人の話が一度でわかる人」であり、「気がきく人」であり、「KYでない人」でもあるわけです。

こんな人は絶対に入社してほしくない

これらのプラス条件に対して、マイナス条件というのももちろんあります。つまり、会社側から見て絶対に入社してほしくない人。おおよそはプラス条件の反対だと考えてください。こういう人は、たとえ入社しても必ず負け組になります。負け組に入ってしまう人たちの共通点とは、次のようなものです。

  • 素直に目標に没頭できない(目標が目移りしてしまう)
  • 目標をすぐあきらめる(できない理由を並べ立て、言い訳し、「自分なりに頑張ってる」と自分自身に言い聞かせる。発想がネガティブ)
  • 失敗したことをすぐ忘れる(失敗を次に生かせない)
  • 人のよいところを真似できない(素直じゃない)
  • 傲慢な態度の人(謙虚じゃない)
  • 時間と約束事にルーズ
  • 仕事を成果でなく時間でやる
  • チャンスをもらっても挑もうとしない
  • 報告ツールの使い方が下手(目的がわかっていない)
  • 努力しない(勤務時間外の努力がない)
  • 会社の雰囲気に合わない
  • 連携力がない
  • 清潔感がない
  • 人の話が一度で理解できない
  • 人の時間や都合を考えない
  • KY(空気が読めない)

……とあれこれ並べましたが、要するに負け組というのは、自己中心的で、努力する・我慢する・継続することから逃げたがる人間ってこと。しかも、逃げていることを正当化しようとする。こんな人間に限って、「自分なりに頑張っているんだから」なんて自分自身を許してしまったりします。
目標設定に関して言うと、負け組の人間はそもそも、期限や数字のある目標なんて立てないし、与えられた目標を継続できずにすぐあきらめてしまう。そして自分以外の“何か”を理由にして言い訳する。さっきのうちの新人の例だと、遅刻の理由を「明け方まで本を読んでいたから」と言う。だけど、これは違うんです。「本を読んだ」事実が自分の意思と関係なく起こったわけじゃないでしょ。
次の日朝から勉強会があると知っていながら、一晩中本を読もうと考えたこと自体が問題なんですよ。つまり、本当の理由は自分自身にある。なのに、さも自分以外に原因があるかのように、平然と言い訳するんですね。困ったものです。
次に、企業側がとりわけ困るのは「時間と約束事にルーズ」な人。学生時代にルーズだった人間が、社会に出ていきなりピシッとできるわけありません。時間や約束事にルーズというのは癖なので、すぐには直らない。よくて数年はかかりますよ。もしあなたに思い当たるところがあるなら、いまこの瞬間から絶対に直すよう心がけなくちゃいけません。
また、「仕事を成果でなく時間でやる」のはもってのほか。仕事ってのは結果がすべてです。○時から○時までただオフィスにいればいい、というようなやり方じゃ何の発展もありません。
それから「報告ツールの使い方が下手」について補足説明すると、報告ツールというのは電話やファックスやメールなど、人に何かを報告・連絡する手段のことです。例えば、仕事で一日中外に出ている人の席に(至急○○してください)なんてメモを置いても何にもならないでしょ。こんなふうに緊急性を要する時の報告ツールは、携帯電話か携帯メールがベスト。ですがその他の状況によっては、もっとアナログな自筆の手紙がベストという場合もありますし、直接相手の顔を見て伝えるべき場合もあります。
報告ツールはTPOによって、相手によって使い分けなくちゃいけないんです。これができない人は、当然仕事ができない。
次に「会社の雰囲気に合わない」についてですが、こういう人は合わせようとしないことが多いんです。上司・先輩・同僚とコミュニケーションが取れないから、「連携力がない」とみなされ、雰囲気に合わなくなる。学生諸君の言葉を借りれば「KY(空気が読めない)」ってやつですね。そんな人はたいてい、素直じゃない、謙虚じゃない、努力しない、我慢がきかない——つまり仕事が下手なんだ。これじゃどこへ行ったって通用しませんよ。職場の空気がおかしくなるのも、こういうところから。人間関係が原因で転職したなんて言いますが、仕事のまずさが人間関係を悪くするんです。仕事ができる人というのは、人間関係だってそつなくこなしてますよ。
あと、ここには書いていませんが「優しくていい人」というのも負け組に入る可能性が高い。もし異論があるなら、ちょっと考えてみましょう。あなたのまわりで「あいつはホントに悪人だ」と思える人はどれくらいいますか? ちょっと挙げられないでしょう。誰から見ても悪い人間なんて、普通そんなにいないもんです。てことは、「いい人」というのが決して褒め言葉にならない理由でもある。
ほかに褒めるところがないから「まあ、いい人だよね」と言われるんですよ。「いい人」なんて言うのは挨拶みたいなもの。だからたいていの場合、「○○さんって優しくていい人なんだけど、仕事のほうは……」みたいな条件付きになるわけです。
以上、負け組の共通点をいろいろ述べましたが、中でも絶対入社してほしくないのは「努力しない」人です。たとえセンスがなくても、人間努力さえすれば何とかなるもの。だから、努力しない人間だけは絶対に要らない。こういう人間がたいていの場合“転職スパイラル”に巻き込まれてしまうんですよ。