山口恭一の人生を変える就活

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  2. 第5章 本気で営業やるために
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なぜ営業やるの?

ほかには何もできないと気づくべし

この本を読んでいる皆さんは、営業という仕事に興味がありますか? もしあるとすれば、それはいったいなぜですか?
私が開催しているセミナーでも、「営業に興味あります!」と明るく宣言する学生がときどきいます。しかし、なぜかと尋ねてみると、あまり納得のいく答えは返ってきません。
もちろん最初から営業志望という、そのこと自体は、とてもよいことなんです。だけど問題は、営業というのがどんな仕事か本当にわかって言ってるかどうかってことです。まずは、このあたりを確認してみる必要がありそうですね。
このカテゴリーはタイトルを見てわかるように、営業志望の学生諸君を意識して書いています。しかしこれから述べることは、たぶん営業職だけに限られる話じゃないはずです。自分の生涯を託すことになるかもしれない仕事と、それに対する心がまえという観点から見れば、どんな職種を志望する人にも、ある程度は当てはまる話でしょう。そのつもりで読み進めてください。
さて私の考える職種の分け方は、営業系・技術系・事務系——大ざっぱにこの3つです。
営業系というのは、商品を直接売ることだけを指すんじゃありません。販売促進をおこなう広報・宣伝等の部門や、顧客センターの窓口、ホテルのフロントや受付など、お客様に接する仕事はすべて広い意味での営業系に入ります。
つまり、お客様と直接コミュニケーションを取る仕事と考えたらわかりやすいでしょうか。
次に技術系というのは、実際の商品を作ったり改良したりすること。また、工場などのシステムを改善したりするのも技術の仕事です。つまり「しくみ」を作るわけですね。それ以外に、料理人・美容師・デザイナー・インストラクター・プログラマーといった仕事も、自分の技術を売るわけですから技術系と考えられます。
事務系というのは、社内外のコーディネイト業務です。人事・庶務・総務・経理・財務といった部署があります。いわば、営業系や技術系の人が働きやすくなるようにするための仕事ですね。公務員の場合は、この事務系と技術系の仕事がほとんどでしょう。公務員で営業系というのはあまりピンときませんから。
ここで質問ですが、営業系志望のあなたはこんなふうに考えていませんか?
「特に技術もないし、事務処理も苦手だし……ほかにできることがないから、とりあえず営業かな」
なんてね。どうも私の感覚だと、営業ってのは「ほかにできることがなさそうだから」って学生が一番入ってくるところなんです。技術もダメ、事務もやりたくない、だから営業を選んだという人が実に多い。
いや自分はそうじゃない、なんて息巻く声が聞こえてきそうですね。だったら、ちょっと考えてみてください。小さいころからずっと、「将来は営業マンになりたい」と思っていましたか? 高校時代はどうでしたか? 大学に入ったばかりのころは?
答えを聞くまでもなく、若いときから営業職を将来の目標にしてきた人などまずいないでしょう。大学も3年になり、「就活」の2文字が目の前に迫ってきて初めて、営業という仕事を視野に入れた人がほとんどだと思います。これはある意味しかたないでしょうね。日本の大学というのは、社会人になるための教育に力を入れない場所だから。
ただし、いまの自分がほかには何もできない、と気づくことは必要です。自分でそれを認め、その上で「じゃあこれからどうすればいいのか」と考えることが大事なんです。

営業は甘くない

営業志望だという学生にその理由を聞いてみると、よくこんな答えが返ってきます。
「人に接する仕事がしたいから」
「人と話すことが好きだから」
うーむ……そりゃ、人と話すのが嫌いよりは好きなほうが、営業の仕事をするには多少楽でしょう。しかし、話すのが好きってだけで営業ができるなら、誰も苦労はしません。営業マン時代、トップセールスでいた期間がほとんどだった私でさえ、入社して最初の数カ月はまったく売れない時期がありました。だから、営業の苦労や結果の出ないつらさが身にしみてわかるんです。
特に商品を直接販売する営業職の場合、人と接することや話すことが好きで売れるほど甘いもんじゃない。「話し好きだから、営業ならできそう」なんて思ってると、えらい目に遭いますよ。逆に、口下手でも優秀な営業マンになることはできるんです。あがり症で人と話すのが苦手だったにもかかわらず、訓練によって指折りのトップセールスになった人も実際います。
ほかには、「じっとしてるより動いてるほうが性に合うから営業」なんて言う人がいます。これもおそらく、じっと机に向かったりパソコンの画面を眺めたりするよりは外を出歩いたほうがまし、という程度じゃないでしょうか。
営業ってのは、トップランクになれれば高収入や自由時間や幸福感というリターンがたくさんもらえてハッピーです。しかし結果が出なければ、悲惨なリスクを負うことになる。まさに天国と地獄。だから私はこの仕事を「ハイリスク・ハイリターン」と呼んでいるんです。
最近では理工系の学部出身者など、技術を持っているのに営業志望という変わり種の学生が増えてきました。歓迎すべき面ももちろんありますが、ここではあえて苦言を呈しておきたいと思います。
営業の仕事は決して甘いもんじゃない。これっきゃないと腹をくくらない限り、トップランクにはなれません。そして営業ってのは、トップランクになれなければ本当につまらない仕事です。勤務時間は長いわ、休みや収入は少ないわ、まわりの評価は低いわ、家族には心配をかけるわ……まさにリスクだらけ、ハイリスクなんですよ。
だから、絶対トップランクになってやるという強い意思を持てないならば、営業を目指すのはやめたほうがいいでしょう。

営業マン2・6・2の法則

営業営業とひと口に言いますが、営業にもいろいろ種類があります。トップランクの営業マン——すなわち、お客様に喜んでいただきながら継続して商品を売っていくことのできる人は、全体から見て上位の2割しかいません。
そのすぐ下にいる6割は、売れたり売れなかったりという人。こういう営業マンは、ただ接客するだけ、あるいは商品の説明をするだけしかできないってことがほとんどです。早く言えば、単なる御用聞きですね。
こんな人たちを私は「説明営業マン」と呼んでます。プレゼンテーション(商品の説明や提案)はできるが、お客様の本音がわからない。つまり、KY(空気が読めない)なんですね。説得力やマーケティング力といった本物の実力をつけて、お客様の気持ちがパッと理解できるようにならなければ、営業マンとしての将来はありません。
さらにその下2割というのは、もともと営業に向かない人。こういう人はまったく売ることができません。
そして、最下位の2割と中間の6割を足した8割の営業マンは、大部分が入社3年以内に辞めてしまいます。辞めたところでほかにできることもないので、転職するとしてもやっぱり営業です。しかし、会社や商品が変わっても、自分が変わらなければ売れるようにはならない。というわけで、再び転職を繰り返す……いつまでたってもキャリアも本物の実力も身につかない、苦しい苦しい転職人生になってしまうんです。
このように、トップランク2割・説明営業マン6割・売れない営業マン2割という状況を、私は「営業マン2・6・2の法則」と呼んでます。ただしこの法則は、営業マンに限ったものではありません。技術系であれ事務系であれ、どこへ行っても通用する人というのは、それぞれやはり上位2割程度でしょう。
その上位2割に入るため——言い換えると、下位8割に入らないためには、どうすればいいのか。これに関しては、「2 目標持つと人生が変わる」、「3 時間と頭はこう使う」のカテゴリーに詳しく書いてありますので、そちらを読んでください。