山口恭一の人生を変える就活

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どうやって人脈を作り、キープする?

親の教えを思い出せ

礼儀ができれば、必ずよい評判が立つ。よい評判が立てば、いろんな人から目をかけてもらえる。年長者に可愛がられるコツというのは、実は小さな心配りの積み重ねで、案外簡単なことなんですよ。ところが、これができない人がたくさんいる。
皆さんは小さいころ、こんなふうにご両親から言われませんでしたか?
「誰にでもきちんと挨拶しなさい」
「人に迷惑をかけないようにしなさい」
「何かしていただいたら、お礼を言いなさい」
「話は最後まで聞きなさい」
たいていの人は、そうしつけられた覚えがあるでしょう。これはおそらく、子供が社会に出たとき敵をなるべく作らないように、まわりの年長者から好感を持ってもらえるように……という親心なんじゃないかと思うんです。
でも私の知る限り、親から言われたことを実行できない、挨拶や礼儀のできない社会人というのがあまりに多い。
だから逆に、それができれば非常に目立つんです。年長者の好感を得ることができ、いろんなことを教えてもらえます。早く仕事ができるようになるし、チャンスもたくさんもらえる。情報も入ってくるようになります。
いまこそ、親の教えを思い出してほしいものです。社会人として成功するコツは、年長者から可愛がられること——これもまた、私からの「親心」と思って胸に留めておいてください。

“年長者人脈の輪”を広げよう

さてそれでは、年長者の人脈をどうやって作ればいいのか、具体的なアドバイスをします。
自分でいま思いつく年長者の知り合いといえば、誰ですか? 一番身近なところで、お父さんやお母さん、あるいは大学のゼミの教授あたりではないでしょうか。まずそういった人たちに、生き生きと前向きに仕事している方をひとり紹介してもらってください。
「生き生きと前向きに仕事している方」とは、どんな職種であっても、自分の仕事に目標を持って取り組み、お客様やまわりに喜んでもらえている方のこと。こういう方を私は「人生の成功者」と呼んでいます。地位や名誉や財産とはあまり関係がないんです。だから、サラリーマンでも、町工場の社長でも、何かの研究職の人でも、お寿司屋さんでもかまいません。自分の時間を自分でコントロールしながら生き生きと前向きに仕事しているそんな方をひとり、ご両親や大学の教授に紹介してもらいましょう。
紹介してもらったなら、その方にお話を聞きに行きます。ただし相手は忙しい方ですから、必ず前もって紹介者にアポイントを取ってもらいましょう。
「うちの息子・娘が(あるいは、うちの学生が)仕事についてのお話を伺いたいので、15分程度お時間をいただきたいのですが」
と言ってもらってください。紹介者に頼まず自分自身でアポイントを取る場合も、まずはきちんと挨拶をし、誰の紹介で連絡したか明らかにしたあと、
「私は○○大学の学生で、いま将来のことをいろいろ考えているのですが、その参考にしたいので、仕事に関するお話を△△さんにお伺いしたいのです。お忙しいところ申し訳ありませんが、15分で結構ですからお時間をいただけないでしょうか?」
と、目的を明確に述べましょう。
アポイントが取れたなら、せっかくの時間を無駄にしないように、聞きたい話の内容や質問事項をあらかじめ用意しておきます。そのとき気をつけたいのは、自分自身が前向きになれるための質問を用意しておくということ。その方がなぜ現在の仕事を選んだのか。最初のころはどういう目標を持って取り組んだのか。取り組むに当たってはさまざまな障害やアクシデントがあったと思うが、それをどうやってクリアしてきたのか……などなど。
よく、「これまでどんな壁にぶつかりましたか?」なんて苦労話ばかり聞く人がいますが、それだけを聞いたってしょうがない。あなたが聞き出すべきは、「人生の成功者」たちの失敗談でなく「成功談」のほうなんですよ。壁そのものの中身より、壁の乗り越え方に重点を置いて質問してください。
お話は適宜メモを取りながら一生懸命に聞くこと。そして最後に、また別の「人生の成功者」をその方に紹介してもらいましょう。前向きな方の知り合いというのは、同じように前向きな方が多いですからね。
「今日はお忙しいところ貴重なお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。実は厚かましいお願いで申し訳ないのですが、今回のようなお話をほかの方にもお伺いしたいので、よろしければどなたかお知り合いの方をおひとりご紹介いただけないでしょうか? どんな職業の方でもかまいません。仕事の目標を持って前向きに取り組まれている方をご紹介いただけると、大変ありがたいのですが……」
こんなふうに礼を尽くしてお願いすれば、きっとこころよく紹介してくださるはずです。お願いついでに、その場でその方にアポイントを取っていただければ完璧ですね。最初のときと同じく、相手の方には時間と目的を明確にお伝えするようにしてください。
そして二番目の「成功者」から話を聞き終わったら、また別の方を紹介していただき、その三番目の方にもまた別の方を紹介していただき……と、こんなふうにして年長者の人脈をしだいに増やしていくんです。いわば、『笑っていいとも!』に出てくる“友達の輪”みたいな“年長者人脈の輪”を作るわけです。

お礼状を忘れるな

前向きな人の話を聞いて「ためになったなあ」と感心しても、それで終わりじゃあまり意味がありません。せっかく頑張って作った年長者人脈の輪ですから、後々までしっかりキープしておきましょう。そのために絶対忘れちゃいけないのが、話を聞かせていただいたことへのお礼です。
お礼といっても、べつに金一封を包みなさいとか、品物を贈りなさいとか言うんじゃありません。お礼状——つまり、直筆の便りをお送りすればいいんです。
きちんと便箋と封筒に書くのがベストですが、それが無理ならハガキ一枚でもかまいません。たとえ字がまずくて書くのが苦手でも、心を込めて丁寧に書けば、少なくとも思いは伝わるもんです。どうしても「直筆はちょっと……」というなら、プリンタで印刷したっていいでしょう。だがその場合も、相手の方に即した内容を心がけるのは言うまでもありません。あと、同じプリンタ印刷でも、宛名をシールで貼るのはダメです! ダイレクトメールみたいで、絶対よい印象を与えません。
携帯電話や電子メール全盛の時代だからこそ、直筆の便りというのは相手の心に強く残ります。我々の先輩方が若かったころは、お世話になった方にお礼状を書くのなんか当たり前のことだったでしょう。でもいまは、こんなことで差がつくんですよ。手紙一通、ハガキ一枚で、きちんとした人と思ってもらえるんです。現に私自身、お礼状を忘れなかったおかげで、年長者の人脈をずっとキープできました。たいした時間もかからないんだから、必ず実行しましょう。
ただしここで大事なのは、一度きりの便りで終わらせないこと。会ったあとに一度お礼状を出すだけなら、わりと誰でも考えつくかもしれません。でも、できる人間というのは、ここからが違う。自分の近況報告を兼ねて、盆暮れ年頭のご挨拶をずっと続けるんです。こうやって継続することができるのが、ズバリ、できる人間。その場限りで終わりってのが一番ダメな人間です。
「盆暮れ年頭のご挨拶」というわけですから、夏と年末年始ですね。つまり、一度でもお会いして話を聞かせていただいた方に、暑中見舞いあるいは残暑見舞いと、一年の締めくくりの挨拶状と、年賀状を出すんです。
重要なのは、これを何年たっても出し続けること。そうすれば、長い間会うことがなくても、ずっと覚えていてもらえますし、何かまたアドバイスをいただきたいと思ったとき、直接アポイントを 取ってお会いできるようになります。あなたの印象をより強めるために、写真付きのハガキを使うのも一案ですね。
便りを書く際は必ず、現在何をしているか、どういう仕事の目標を持っているかなどをお知らせしておきましょう。その内容を見て、役立つ助言をくださるかもしれませんし、キーパーソンとなる人を紹介してくださるかもしれません。あるいは、その方ご自身が広報マンとなってあなたをほかの人に紹介し、それがきっかけで新しいチャンスが生まれることだってありますよ。
一度お会いした方に、いつどこで再びお世話になるかわからないんです。人脈というのは、何年かたって生きてくる場合が多い。盆暮れ年頭のご挨拶を欠かさず誠意を尽くしておくことが、あなたの将来にとって大切な投資になるんですよ。これを決して忘れないでください。

「人脈は夜作られる」というが……

会社に入ったら、定年まで40年近く勤めることになるわけですから、最低でも入社して最初の3年間くらいは仕事漬けになる覚悟を決めなくちゃいけません。ただし女性の場合は、これにあてはまらないこともあります。だから例えば10年仕事しようと思うなら、1年間くらいは仕事漬けでいいんじゃないでしょうか。
そのためには、年間100日の休みを3分の1近くまで減らし、遊びや趣味を犠牲にして仕事すること。休みの内訳は、月に2日、五月の連休と夏と年末年始に3日ずつで、合計33日。あと3日の予備日を加えて、全部で36日です。1年(365日)の1割といったところですね。それ以外の日はしっかり目標を定め
て努力し、営業系・技術系・事務系のいずれの職種を選ぶにせよ、入社して10年の間にトップランクになれるようにしてください。
というわけで、トップランクになる(=楽しく仕事ができるようになる)までは、あまり遊ぶ時間なんて取れないでしょうね。しかし、「あいつは仕事ができる」と誰からも一目置かれるようになったら、今度は休みを増やして遊ぶ必要が出てきます。遊びというのも人生勉強のひとつですからね。仕事の力がついてきて初めて、こういう人生勉強が役立ってくる。そうなると、さらによい人脈作りもできるんです。
ただしその場合も、同級生たちとチープに遊ぶより、少し背伸びをしても、年長者と交流できるような高級な遊びをすることをお勧めします。お酒を飲むにしたって、安い居酒屋に5回行くくらいなら、回数を1回に減らして高い店へ行くべきです。一番いいのは、そういう店の常連であるような年長者に連れていっていただくことですね。ここで、キープしておいた“年長者人脈の輪”が物を言うんです。お話をうかがったりご挨拶をしたりするうち、食事に誘われる機会も出てくるはずですよ。
一度の食事に3万円かかるフレンチレストランと、3千円ですむ料理屋とでは、やっぱりサービスも雰囲気も、来ているお客さんの質も違うんです。仕事ができるようになってからなら、こういった違いもわかるはず。トップランクの仕事人になったら、最高のサービスというものを一度は味わっておいたほうがいい。
さて……ここで老婆心ながら忠告をひとつ。「人脈は夜作られる」なんて言われますが、よい人脈を作るためにも、お酒の飲み方にはくれぐれも気をつけてくださいよ。
酒癖が悪くて仕事ができる人間というのは、絶対にいません。酒癖の悪い人は必ずどこかで大きな失敗をします。もっと言えば、人生が狂ってしまうことだって多々あります。新聞を見てみると、お酒が原因でケンカをしたり交通事故を起こしたりした人の話が、しょっちゅう出てるでしょ。あくまでも円滑なコミュニケーションの手段であるお酒を、あなたの人生狂わせる道具にしてしまっちゃいけません。いいお酒の飲み方を、一度しっかり研究しておきなさい。
逆にお酒が飲めなくても、宴席の過ごし方が上手で、まわりの信頼をかちえた人は大勢います。場の空気を読んで宴席を盛り上げる能力や、おもてなしの気持ちが評価されるんです。私の知っている中では、アクサ生命保険株式会社の元会長さんである松戸猛氏がそういった方ですね。「こんなビジネスマンになりたい」と思わせてくださる、すばらしい方です。